WOLFGANG MAN & BEAST BLOG No.37
こんにちは、スタッフ T です。
今年最後のブログは、少し真面目なお話を。
現状の国内のペットのサプライチェーン( 生体販売の流通 )について、考えたいと思います。
商品のサプライチェーンには必ず「 ロスと廃棄 」がつきものです。
工場では、商品生産の過程で不良品が出た場合、それは廃棄処分になります。
生産する機械が古くなれば、不用品として廃棄になります。
店頭では、セールや値下げしても売れなかった「 売れ残り品 」は、処分業者の手を経て、その後、廃棄になります。
商品が「 生き物 」の場合でも、それは同じ。
非常にショッキングな事ですが、流通販売の仕組みは変わらない。
大量生産・大量消費の現在の経済社会では、生産者も販売者も「 出来るだけ原価を抑え、効率よく、大量に、繰り返し売る 」ことが目標になりやすい。
その商品が生き物の場合、生産業者 = 繁殖業者 は、メスの犬にできるだけ安いエサを食べさせ育て、狭い檻の中で管理し、少ない人手で世話をし、繰り返し交配・繁殖させ、子犬をどんどん生ませ、オークションに出品し、ペットショップに数多くの個体の卸販売を繰り返す、それが正解になりやすい。
妊娠・出産できなくなった老犬は、繁殖業者にとっては不用品になってしまいます。
商売優先のいい加減な交配を行い、遺伝的な病気を持つ子さえ出荷している例も絶えない、と聞きます。
… これがペットのサプライチェーンの実情。
全ての繁殖業者がそうだと言っているわけではありませんが。
2014年の数字で、ブリーダーからペットショップの元に届くまでの段階で75万匹中2万3千匹の犬猫が亡くなっていて、さらにペットショップの「 売れ残り 」の命は75万匹中11万匹いるとのこと。
それらの個体を仕入れたペットショップでは、お金さえ出せば、誰にでも犬猫を売ります。
そのためか、ペットショップで子犬と目が合ってしまって「衝動買い」してしまう人も多い。
犬を飼い始めた人が、下記のような理由で手放すことになってしまうことがあります。
・ 購入した犬が病気になった。思ったより世話が大変。
・ 子犬が成犬になったら、かわいく思えなくなった。
・ 購入した犬が言うことを聞かない。シツケができないから。
・ 吠えるので、近所からクレームが多いため。
・ ペット禁止のマンションで飼っていたのがバレた。
・ 犬の毛でアレルギーになってしまった。
・ 海外転勤で、連れていけなくなった。
・ 結婚相手は犬が嫌いなので。
・ 思ったよりお金が掛かる。経済的に維持が難しくなった。
犬を安易に飼う前に上記のような「 もう飼えない 」と思うような状況が発生しないか、もう一度確認して欲しい。
「 犬が好きだからこそ、飼わない 」「 犬が好きだから、売らない 」という選択も必要です。
本来、生産者でも販売者でもペットのサプライチェーンの職に就いた人は皆、犬や動物が好きで、誰も犬の不幸を望んでいないはず( と信じたい )。
しかし、経済的な問題で、意図せずとも不幸な犬を作り出していたり、また、消費者として、浅はかな気持ちで犬を飼ってしまい、結果として犬を捨ててしまったりしないように、行政によるペットのサプライチェーンに対するルール作りは必要不可欠でしょう。
犬を販売する側と購入する側の双方に対して、本当に犬を飼う資格があるかを査定するシステムとそれを運用するシステムが必要なのは明らかです。
現状の神奈川県や熊本市のような、地方自治体による捨て犬の「引き取り拒否」による「殺処分ゼロ」の実現だけでは、根本的な問題解決は難しい。
「 引き取り屋 」が活発化したり、闇取引が横行ししたりしてしまい、表面上の本当の数字が見えなくなったり、より問題が深刻化する可能性もあります。
写真の出典「週刊東洋経済」
ある県や市で殺処分がゼロでも、その隣の県や市に個体が回されたら同じことです。
出口を閉めても( 閉めたように見えても )、入り口がそのままでは、別の場所であふれ出ます。
よくよく、生体のサプライチェーンについて考えてみましょう。
まずは犬を愛する我々 1 人 1 人 の高い意識からスタートです!